現実科学ラボでは、各分野で活躍している専門家とともに「現実とは?」について考えていくレクチャーシリーズを2020年6月より毎月開催しています。
https://reality-science.com/2020/07/001-2/
https://reality-science.com/2020/08/001-3/
第三回となる今回は、2020年8月20日、AR三兄弟の長男として知られている川田十夢さんをお迎えしました。さらにスペシャルゲストとして、メディアーティストで東京藝術大学 准教授である八谷和彦さんにも議論に加わっていただきました。
川田さんは、毎週金曜日に放送中のラジオ番組「INNOVATION WORLD」にてナビゲーターを務めてもいます。
川田さんは、幼少期を振り返りながら、当時の自分にとっての「現実」を紹介しました。年齢別のエピソードは本人の手でこちらのサイトにまとめられています。
小学生・中学生時代の川田さんは、周囲の家族や友達と会話が噛み合わず、上手くコミュニケーションを取ることができなかったことに悩んでいました。様々なストレスが相まって、円形脱毛症に陥ってしまいました。そんな時に、九州の祖母が「マジックで塗ればよか!」と励ましてくれたそう。そして実際にマジックで塗って学校に行ったら、確かにバレなかったのだとか。
自分の中では極めて深刻な悩みだったことが相対化され、自分が思っているほどには人の目は自分に向いていないことに気がついたと川田さんは語ります。
就職して以降も孤独を感じながらも、発明に励んでいました。ミシンのハッキングなどをしていたさなか、偶然にも同じくミシンを題材にしたライゾマティクスの展示を見て、技術が表現になり得ることに感動したと語ります。表現という道を見出した川田さんは、AR三兄弟の活動を始めます。
AR三兄弟にとっての現実
「現実は実装可能なキャンバスの一つ」と川田さんは語ります。講演では、これまで現実を拡張してきた事例を様々に紹介していただきました。
招待状を読み込むと、そこがそのまま会場となるARファッションショー。
ショッピングモールのスペースをオーケストラの会場にしてしまう拡張現実オーケストラ。指揮棒を振る速さがオーケストラの再生速度をコントロールします。
ワープする路面電車。文明単位の旅、奥田民生せんせいのミュージアムを更新しました。 pic.twitter.com/FmxSZr7r7u
— AR三兄弟 (@ar3bros) June 29, 2018
床のみならず路面電車そのものにもプロジェクションマッピングをすることで、その場に留まっていながらもどこかへ行ったような感覚に。
運転席の「リア充」ボタンを押すことで、助手席にエアバッグが形作るエア彼女が出現する車。
新ネタ・オブ・シープ。現実に作用するタイプの拡張現実。 pic.twitter.com/IKZHlwZ9pV
— AR三兄弟 (@ar3bros) February 17, 2020
一見スポンジがうごめいているだけのものだが、デバイス越しに見るとAR三兄弟がトランポリンのように跳ねている。
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講演後は、川田さん、八谷さん、藤井の3人でパネルディスカッションが行われました。
次回は2020年9月30日、メディアアーティストの市原えつこさんをお迎えして開催する予定です。奮ってご参加ください。
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