現実ナイト ワークショップ 2020年2月

現実ナイト ワークショップ 2020年2月
2020年2月13日木曜日 19:00
参加メンバー:23名
アジェンダ
ワークショップまとめ

今回のワークショップでは、ambie株式会社の三原良太さんのファシリテーションの元、「ambieを使うことでどう我々の感覚を拡張することができるか」を考えるグループワークが行われました。

ambieとは、周囲の環境音をシャットダウンせずに聞きたい音楽を聴くことができる、これまでなかった画期的なイヤホンです。

ambie公式ページより引用。

これを使うと、例えば、駅の電車接近アナウンスや、車が接近する音を聞き逃す心配なく音楽を聴くことができたり、音楽を「ながら聴き」しながら人と会話することができます。

三原さんは、従来のイヤホンやヘッドホンが、音楽を脳内で「没入的」に再生するのに対して、ambieを日常生活をより豊かにするための「透過型」スピーカーだと位置付けています。別の言葉で表現するなら、「ヘッドホンはVR的、ambieはAR的」といえますね。

三原さんのスライド(p.12)より引用。

三原さんはこのambieに、単なる便利なイヤホンを超えた、更なる可能性を感じています。ambieはいわば、「現実の音と仮想の音のミキサー」のようなものであり、この仮想音の部分に面白いデータや他モダリティの知覚情報を持ってくることで、今までになかった新感覚が作れるのではないか、というものです。

三原さんのスライドより引用。ハードウェアエンジニアの三原さんならではの、音体験のシステム的解釈です。

例えば、wifiの電波を音信号に変換し、「wifiを聴く」という体験を作るなど。。。

三原さんのスライドより引用。

このARスピーカーを使って、他にどのような新感覚を作ることができるか、計17名の参加者が4つのグループに分かれて、濃密な議論を行いました。議論は白熱し、予定していたより10分ディスカッションタイムを延長することになります。。。

その後、各チームが議論の内容をまとめ発表を行いました。どのチームも、予想していたより多くの面白いアイディアが生まれ、まとめるのに少し苦労していた印象でした。以下、出てきた中から抜粋してアイディアを紹介します。

発表の様子。

最も多く共有されたのは、自身の身体・生理的データを元にフィードバックを行う、と言う類のアイディアでした。例えば、生体データから意識下の心理状態を推定し、それに適した音楽をambieで再生するなど。。。(バイタルミュージック)

三原さんのスライドより引用。

参加者のみなさまから特に人気があったのは、「千里耳」というアイディアです。近くで開催されているイベントを、種類に応じた音楽で知らせてくれたり、間違ったところへ着いてしまった時は嫌な音楽が、正しいところへ着いた時には好きな音楽が流れるといったものです。多くの参加者が、位置依存の音コンテンツに、ambieを利用する可能性を感じていました。現実の音にガイド音を付加するという、ambieだからこそできるアイディアですね。

三原さんのスライドより引用。

自分とは違う誰かのささやきを、現実音に付加するという観点では、筋肉の負荷度を元に筋肉の叫び音を再生し、筋トレを促進する、というアイディアも評判でした。これらのアイディアに共通する大きな方向性として、「通常の聴覚では感知できない情報を変換して可聴化する」という機能がありそうです。

三原さんのスライドより引用。

全チームの発表が終わった後、三原さん、藤井さん、アーティストの市原さんらによるフィードバックが行われました。

フィードバックの様子。

今回のワークショップは、とりわけラボ会員のみなさまの関心度が高く、ワークショップ終了後も、FBメッセンジャーのグループチャット内で、熱い議論が行われています。今後、プロジェクト化する可能性のあるアイディアがいくつかあり、それを見越した予算獲得の計画の共有もなされています。